無期雇用派遣は、正社員ともふつうの派遣とも特徴が違います。
メリット・デメリットを知らないで選んじゃうと貴重な20代を失敗する可能性があります。
無期雇用派遣は2種類あって、この記事では「正社員型無期雇用派遣」はやめたほうがいいという理由についてご紹介しますね。

正社員型は、派遣会社の採用試験に合格する必要がある無期雇用派遣だよ。
20代の若者が対象。
もうひとつは、登録型無期雇用派遣でふつうの派遣から無期雇用派遣になるタイプ。
3年間ふつうの派遣で働く→派遣会社のオファーを受けて無期雇用って流れ。
【おさらい】無期雇用派遣と正社員&ふつうの派遣との違い


どれがいいかを選ぶためには、違いをクリアにしておく必要があります。
正社員との違い
正社員に近いようで、違いがあるのは就業場所と業務内容です。
雇用期間
どちらも制限がないので安定。
給与・ボーナス
無期雇用派遣の方が低い傾向。
理由は、「事務未経験者」や「事務職しかしたくない」人たちをターゲットにしているから。
賞与はどちらもでますが、無期雇用派遣は退職金が月給に含まれている事が多いです。
昇給
どちらも昇給がありますが、大きな給与UPが期待できるのは正社員のほうです。



昇給はどうしても会社への貢献度(売上・業績)に影響されちゃうから
就業条件
正社員は職種の変更や異動、転勤の可能性があります。
無期雇用派遣の場合、職種変更はなくて基本は「事務職」。



派遣先が変われば仕事内容は変わるけど、急に営業職になるとかはないよ。
正社員は、それがあり得る(スーは経験者)
残業
正社員は断りにくいですが、無期雇用派遣の場合は契約以上の残業を求められません。
派遣先からしたら「派遣さん」なので、無理に残業させようとはしないはずです。
契約社員との違い
契約社員ともまた違うところがあるので注意です。
雇用期間
契約社員は1年とか契約期間に制限があるため、不安定な傾向あり。
無期雇用派遣は、派遣会社との契約に制限がない分、安定しています。
給与・ボーナス
似たようなものが多いはずです。
契約社員に賞与があるかは、条件次第ですね。
正社員型の無期雇用派遣には、賞与を出しているケースがほとんどです。
昇給
契約社員の昇給も契約内容次第です。
無期雇用派遣は、毎年昇給する可能性があります。(もちろん評価次第)
就業条件
契約社員も無期雇用派遣も職種の変更や異動、転勤の可能性はほぼなし。
事前の契約で就業条件を決定するためです。
残業
契約社員は、無期雇用派遣より断りにくいと思います。
一応、社員ですからね^^;
ふつうの派遣社員との違い
ふつうの派遣社員(登録型派遣)と正社員型の無期雇用派遣は、主に待遇面が異なります。
雇用期間
ふつうの派遣は、派遣会社との契約は3ヶ月更新が一般的。
そして、同じ派遣先の同じ部署で働けるのは3年まで。
無期雇用派遣は、雇用期間に制限がありません。(正社員とな同じ)



無期雇用派遣は、仮に派遣先が見つからなくても、待機期間は休業手当がでるんだよ。雇用が継続されているからね
給与・ボーナス
ふつうの派遣は、時給制です。
賞与や退職金も給与に含まれていることになっています。
無期雇用派遣は、月収制。
賞与は別で支給されますが、退職金はどちらも月給に含まれているケースが多いようです。
昇給
ふつうの派遣の場合、毎年の昇給が決まっているわけではなくて、以下のような条件次第で時給が上がることがあります。
- 業務内容の変更
- スキルアップが認められた
- リーダーになった(責任範囲が広がった)
就業条件
ふつうの派遣も無期雇用派遣も職種の変更や異動、転勤の可能性はほぼなし。
ただ、無期雇用派遣の場合、3年以上同じ派遣先で働けます。(辞めなくていいってこと)
一般的な派遣は3年しか同じところで働けません。詳しくは、「誰得?「派遣の3年ルール」はひどい。就職弱者になる理由」で解説しています。



長く続けられるから、有給も増えるんだよね
▼週5勤務で週30時間以上勤務している場合
勤務年数 | 付与される有給 |
---|---|
0.5 | 10 |
1.5 | 11 |
2.5 | 12 |
3.5 | 14 |
4.5 | 16 |
5.5 | 18 |
6.5以上 | 20 |
残業
ここはどちらも変わりがありません。
派遣先は、契約外の残業はさせられないです。
「無期雇用派遣はやめとけ」と言われるやばり理由7つ


違いを踏まえた上で、無期雇用派遣のデメリットを詳しく解説します。
派遣先では「派遣社員」扱い
「正社員型無期雇用派遣」といいつつも、派遣会社の正社員なので、派遣先では「派遣さん」として見られます。
派遣先によっては、あからさまに正社員と区別されることも頭に入れておいたほうがいいです。
派遣先を選べない
ふつうの派遣の場合、派遣先に合意したら雇用契約を結ぶので、派遣先が選べるのがメリットです。
でも、無期雇用派遣の場合は、自分の希望は通りにくいです。
理由は、派遣先が見つからないと派遣会社が休業手当を支払わないといけないため。
とはいえ、自宅から3時間もかかる場所に行けとはいいません。
給与と賞与がイマイチ
正社員に比べると給与や賞与が少ないことがあります。
昇給もしますが、正社員に比べたらイマイチってことも。
正社員でも安月給のケースもあるので、難しい比較ですが、決して高くはないのはデメリットです。
派遣先の新卒社員より少ないことだってあります。
派遣先の変更が難しい
派遣先の雰囲気があわない、業務に不満があるとしても派遣先を変更してもらいにくいのも「無期雇用派遣はやめたほうがいい」という理由のひとつです。
ふつうの派遣であれば、「契約更新しません」ですみますからね。



パワハラなどのハラスメントや人間関係の悪化は、派遣会社に相談すれば対応してくれるよ
キャリアアップしにくいから転職で不利
正社員は、勤務を続ける中で業務範囲が広がり、責任のある仕事を任されるなどキャリアアップしやすい環境です。
教育や研修も用意されている企業も多いでしょう。
一方、無期雇用派遣は、派遣先ではあくまでも「派遣さん」。
業務に必要なレクチャーはあっても、スキルアップしやすい環境とはいいにくいです。
待機期間は給与が減る可能性がある
待機期間というのは、ひとつの派遣先で仕事が終わって、次の仕事が決まるのを待っている期間のことです。
この間は、「休業手当」として給与の60%しか出ないんです。
正社員だとそんな状況には置かれません。
産休・育休後は別の仕事になる
正社員の場合、産休育休後は原則同じ部署になります。
もちろん話し合って異動することもありますが。
無期雇用派遣の場合、同じ派遣先に戻れるかは運次第です。
特に時短勤務を希望する場合は、変わる可能性大。
子育てしながら、新しい職場と仕事に慣れる必要がでてきます。
無期雇用派遣はメリットもある【7つ】


あえて正社員型の無期雇用派遣を選ぶ人もいるのは、メリットもあるからです。
7つご紹介します。
派遣先で異動・転勤がない
正社員だと移動や転勤を拒否できませんが、正社員型の無期雇用派遣は、派遣先で勝手に職種や勤務地を変えられることはありません。
私も正社員で転職して、2年で職種が変わったことがあります。(まさかの営業職へのチェンジでした)
契約外の業務をさせることはない
派遣社員としての業務は、しっかりと派遣契約に記載されています。
そして、契約外の仕事を派遣社員にさせてはいけないと、派遣法で定められているんです。
正社員だと急に「このイベントのヘルプして」「他部署のクレーム対応の応援」とかありますが、派遣社員はその心配がありません。
プレッシャーのかかる仕事は少なめ
ノルマや商談成功など責任が重くて、プレッシャーのかかる仕事を派遣社員に任せることは稀です。
正社員になると、どんどん仕事の範囲や責任が増えるのでプレッシャーも出てきます。
事務職未経験でも大きなチャンスあり
正社員型の無期雇用派遣は、20代が対象です。
でも、20代はどの会社でも人気で、経験がある人は正社員として転職します。
なので派遣会社が正社員型の無期雇用派遣で狙っているのは、事務職になりたい販売職や営業といった事務未経験者なんです。
派遣だけど月給制で昇給がある
無期雇用派遣は、月給制なので毎月の給与が安定します。
ふつうの派遣だと、GWや年末みたいに休みが多いときなど、月によって変動しますから。
解雇リスクが低い
正社員型の無期雇用派遣の雇用主は、派遣会社です。
このタイプの無期雇用派遣を実施している派遣会社は、基本大手。
なので、仮に派遣先が倒産しても解雇にはならず、別の派遣先へ移るだけとなります。
派遣先の業績悪化による契約打ち切りでも収入が途絶えることはないため、ふつうの派遣より断然安定していると言えます。
産休・育休後も復帰できる
派遣社員でも産休は取得できますし、多くの派遣会社では1年以上在籍すれば育児休暇も取得できます。
問題は復帰です。
ふつうの派遣の場合、育児休暇が終了すると雇用契約も終わっています。
でも正社員型の無期雇用派遣は、雇用契約が継続しているので職場復帰が可能。
ただ、同じ派遣先ではない可能性が高いことはデメリットですね。
無期雇用派遣は向いていない人


正社員と無期雇用派遣を天秤にかけたとき、向かない人がいます。
しっかりキャリアアップしたい
無期雇用派遣でキャリアアップするのは結構難しいです。
いろんな派遣先で経験を積めるという点はありますが、キャリアアップにつながるかどうかは運次第。
理由は、派遣先が派遣社員にどのくらいの仕事を任せるつもりがあるのか、育成するつもりがあるのか、という不安定な立場にあるからです。



自分とこの正社員には、お金をかけて育成しようと思っても、派遣社員に対してそう思うかはわかんないよね
職場が急に変わるのはイヤ
派遣社員として派遣されるので、以下の理由で派遣契約が打ち切りになることがあります。
- 業績が悪化した
- 社員の配属が決まった
- 部署の統廃合が決定
こうなると、派遣先を変えねばならず、イチから仕事の覚え直し、人間関係の構築ということになります。
給与・ボーナス・昇給を重要視
給与重視であれば、無期雇用派遣はおすすめしません。
給与が上がりやすい職種・会社というものがあるので、そこに正社員で転職する方が絶対いいです。
長い目で見たとき、無期雇用派遣の昇給は、正直期待できません。。
というのも一般的に給与がぐっと上がるのは、大きな成果を出したときや管理職になったときです。
無期雇用派遣の場合、基本的には派遣先のサポート的な業務に就いているため、大きな昇給のチャンスはかなり少ないです。
派遣会社が上げてくれればいいと思うかもしれませんが、派遣会社の収入源は派遣料金。
派遣先が管理職でもないポジションに対して、高い派遣料金を払うとは考えにくいですよね?



給与が上がりやすい職種は、営業や技術開発、ITエンジニアなど専門性が高くて、会社の業績に直結するような仕事だよ
地方に住んでいる
正社員型の無期雇用派遣は、大都市圏に住んでいる人しか応募できない可能性大。
というのも派遣の仕事がいっぱいあるエリアじゃないと、無期雇用派遣社員の仕事を見つけられないためです。
首都圏や関西・東海エリア、全国主要都市を対象にしていることが多いので、募集エリアは要チェックですよ。



派遣会社によっては、いくつかの地方都市もカバーしているよ
ただ、全国展開している会社は無いかな
産休・育休後はすぐ復帰したい
正社員であれば、産休・育休後に復帰するのは、比較的早くできます。
元いた部門に戻るか、事前の話し合いで別部署に戻るか、といった具合です。
無期雇用派遣の場合、職場復帰はできるけど「派遣先を探す」からスタート。
見つからなければ、待機期間に突入となっちゃうんですね。



待機期間は、指示があるまで自宅待機する感じ。
この間に顔合わせや職場見学に行くんだよ
無期雇用派遣を検討したほうがいい人


無期雇用派遣のメリット・デメリットを踏まえると、向いている人がわかってきます。
事務職に就きたいけど未経験
未経験の転職は、なかなか厳しいものがあります。
新卒採用であれば、研修を受けさせて、現場で教育する流れができています。
中途採用だと、その道筋ができていないことが多いんですね。
というのも、中途採用は経験者採用がメインとなるので・・
加えて、20代後半だと「すぐ産休・育休とるんじゃないか?」という懸念も企業にはあるわけです。(口にはしないですけどね)
一方で、正社員型の無期雇用派遣は、事務職未経験者をそもそもターゲットにしていることも多く、チャンスが大きいと言えます。
転職活動が行き詰まっている
転職活動をしているけどなかなか進まない、希望通りの仕事が見つからない場合も検討してみてもいいかもしれません。
ただし、事務職を希望する場合です。
職歴が細かい、応募する条件に足りないなどが理由で、採用試験に落ち続けてしまっている人は、正社員型の無期雇用派遣もチャレンジしてみてくださいね。
大手企業で働きたい
大手企業で事務職をしたい場合、派遣社員で入社するのが一番早いし、可能性が高いです。
大手企業は学歴など採用基準が高かったり、ライバルが多く、そもそも募集が少ないなど、正社員での入社はかなりの難関です。
無期雇用派遣であれば、誰もが知っている会社に入社することも夢ではありません。
異動とか転勤はイヤ
職種が変わったり、異動や転勤をしたくない人も無期雇用派遣がおすすめです。
日本の正社員の多くは、人員配置の権利が企業にあるんですね。
なので、「来月から営業ね」「地方への転勤が決まったよ」というのも普通に起こります。



女性でも引っ越しが伴う転勤を言い渡される会社は、意外とあるんだよ
管理職にはなりたいくない
仕事は続けたいけど、責任が重い仕事は避けたい、管理職は残業も多そうだし、人間関係も複雑そう・・なんて思うことありますよね。
そうゆう場合も無期雇用派遣がおすすめです。
派遣社員を管理職にする企業は、そんなにありませんからね^^;
チームのリーダーぐらいなら派遣でもありますよ。
でも会社の複雑な政治に関わるような管理職は、正社員が担います。
派遣でいいけど、産休・育休後に復帰したい
派遣社員で働いても全然OKだけど、子供を産んでも働き続けたい人も、無期雇用派遣を検討する価値はあります。
一般的な登録型派遣の場合、同じ派遣会社で復帰できるかは微妙なところ。
小さい子供がいると突発急が多いから、と避けられることもあるくらいです。
でも無期雇用派遣の場合、派遣先を見つけないと派遣会社は休業手当を支払い続けることになるので、しっかり仕事を探します。
無期雇用派遣を選択するなら大手派遣会社がマスト


正社員型の無期雇用派遣にチャレンジするなら、大手派遣会社がマスト。
ちなみにパソナは正社員型の無期雇用派遣募集がありません。
大手の正社員型無期雇用派遣
以下が大手派遣会社が募集している正社員型の無期雇用派遣です。
テンプスタッフ | funtable(ファンタブル) |
---|---|
パソナ | やってない |
スタッフサービス | ミラエール |
マンパワーグループ | M-Shine(エムシャイン) |
アデコ | キャリアシード |
リクルートスタッフィング | キャリアウィンク |
上記に加えて準大手のマイナビスタッフの「マイナビキャリレーション
スタッフサービスは、評判が良くないのでおすすめしません。(営業担当がすぐ辞める、釣り広告が多いとか・・)
おすすめ5社の比較
東京23区で比較 | 給与 | ボーナス | 地方都市 |
---|---|---|---|
テンプスタッフ | 21.3万円~ | 2回 | 岐阜・三重 |
アデコ | 22.8万円~ | 1回 | 三重・富山・石川・滋賀・長野 |
リクルートスタッフィング | 20万円~ | 2回 | |
マンパワーグループ | 20.6万円~ | 1回 | |
マイナビワークス | 20.8万円~ | 2回 | 佐賀・滋賀 |
上記の会社は、母体がしっかりしているので候補に入れてみることをおすすめします。
大手派遣会社のは落ちた、ダメっぽいというひとは、マイナビキャリレーション
派遣先の正社員になれた実績もあるそうです。
正社員型の無期雇用派遣でよくある質問
よくある質問をご紹介します。
派遣先で直接雇用されることはある?
派遣先から社員になってほしいというオファーが派遣会社に入ることもあります。
ただ、このオファーにどんな反応を示すのかは派遣会社の方針次第です。
という派遣会社もあれば
という会社もあります。



20代の若者はどの会社でも不足しているもの。
仕事ぶりをみて社員になってほしいと思う派遣先もでてくるよね。
ただ、大手企業は少ないかも
正社員型の無期雇用派遣の合格率は?
意外と合格は難しいです。
派遣会社によっては、10名受けて1名しか合格できないところもあります。
「正社員型」なので採用基準が厳し目なんですね。
とはいえ、面接が1回だったり、正社員よりはハードルが低いのでチャレンジしてみる価値はありますよ。
派遣先をクビになることもあるの?
働きぶり次第では、「派遣社員を変えてくれ」と言われるケースもあります。
いきなり言われるのではなくて、注意やアドバイスなどを派遣先や派遣会社の担当者から受けていて、それでも改善できない場合ですよ。
派遣先をクビになっても、派遣会社から解雇されるわけではないので、雇用面は安心してくださいね。
ボーナスはどのくらいもらえる?
正社員型の無期雇用派遣は、ちゃんとボーナス・賞与という形で年1~2回支給されたりします。
相場は15~20万円(年間)といったところでしょうか。
派遣会社によって賞与規定が変わるので、事前に確認するなどしてくださいね。
まとめ
- 無期雇用派遣はデメリットもあるけど、正社員のデメリットがなかったりする
- どれを優先するかは、自分次第
- ふつうの派遣よりは、安定しやすいしメリット多め
- 採用試験は意外と厳しい
- 無期雇用派遣をするなら大手派遣会社を選択して