長期のお仕事です、といって働き始めても、実際には3か月ぐらいの短い雇用契約で「更新していく」のが派遣のスタイル。
そのため派遣社員は、数か月ごとに「仕事続ける?」ということを考えます。
また、派遣先も「引き続き、仕事お願いする?」を検討します。
更新しない人もいれば、契約更新できない人もでてきます。
あと、時給や契約期間が変わる場合も。
この記事では、派遣の契約更新で起きることを解説します。
- 更新確認っていつくるの?
- 更新されないことってある?
- 更新したくないかも・・
派遣の更新確認とは?
派遣の更新確認とは、「派遣契約を延長するかどうか」を派遣会社が、派遣社員と派遣先に確認すること。
派遣社員には「仕事を続けたいか」を確認し、派遣先には「派遣社員の契約延長」を確認します。
派遣社員の雇用主は派遣会社なんだけど、雇用契約の延長は派遣先に依存しているんです。
仕事ぶりの評価を受けることもある
更新確認は延長の話がメインですが、仕事ぶりについてフィードバックを受けることもあります。
ここで気を付けたいのは、もう少し頑張ってほしい的な話があった場合。
今回は更新するけど、次は危ないよ?のサインかもしれない。
悩みを派遣会社に相談する機会
派遣会社の担当者が頻繁に派遣先に来るケースは少ないと思います。
仕事上の悩みや契約についての疑問・不安があれば、このタイミングで担当者に相談してみては?
派遣会社は、雇用主なんですが派遣社員がどのように仕事をしているかわかりません。
ですが、正社員にはいない「自分と企業の間を取り持つ人」でもあります。
一例
- 人間関係が難しくて、ちょっと悩んでいる
- ランチに電話当番があって、席を離れられない。これって有りなの?
- 仕事が思ったより複雑で難しい・・ 続けられるか不安。
ただ、ハラスメント系の悩みなど緊急性があるやつは、更新確認のタイミングを待たずに、すぐに連絡をしてくださいね!
残念ですけど、ハラスメントは雇用形態に関わらず起きるんです。
正社員でもパート・アルバイトでも・・
率直なところ、派遣会社の担当者には当たり外れがあるんだよ・・
会社というより、本当に人次第という感じ。
営業がダメそうなら、担当コンサルタントに相談してみるのも手だよ。
更新確認のスケジュール
更新確認のスケジュールは、契約終了日を起点に決まります。
法律で、契約更新をしない場合は30日前に予告する必要があるためです。
なので、45日前くらいに派遣会社から更新確認の連絡が入り、30日前までに決定という流れ。
更新したい場合
派遣会社と面談
↓
更新の意思を伝える(要望があればここで)
↓
派遣会社が派遣先の意思を確認
↓
更新の有無が通知
更新したくない場合
派遣会社との面談
↓
更新しない旨伝える
↓
派遣会社が派遣先に更新しないことを伝達
↓
終了が決定
いろいろ前後することもあるけど、だいたいこんな感じです。

契約更新がなかった理由
派遣の契約は必ず更新されるとは限りません。
派遣は、パート・アルバイトより比較的更新されない確率が高い傾向にあると思います。
理由のひとつは、パート・アルバイトは社員だけど、派遣社員は派遣会社に所属していることがあげられます。(自分とこの社員じゃないってこと)
自分とこの社員をクビにするって、パート・アルバイトでも大変なんです。
もうひとつは法律です。派遣は働ける期間の制限があります。
契約が更新されない代表的な理由をいくつかあげてみます。
元々、この期間と決まっていた
派遣の仕事紹介時に聞いているはずですが、もともと期間がきまっていたケース。
産休育休・介護・病休のカバーで、社員が戻ってきた
産休/育休・介護で休職していた人のカバーで、働いていた場合ですね。
このケースは、だいたい1年とか少し曖昧な期間で言われていることがあります。
あいまいにされるのは、実際に戻ってくる時期がズレるから。
保育園が見つからないや、病気の回復が遅れた、などの理由で延長されることもあります。
短期・期間限定業務だった
期間限定業務もあらかじめ知っていたパターン。
年末調整業務で2か月だけ働いた、夏のセール時期だけ、短期間のプロジェクト、などの場合です。
延長する可能性はゼロではありませんが、繁忙期対応やイベント対応なので、最初に言われた期間で終わることは多め。
派遣先のルールによる期間制限
派遣先によっては、派遣社員が在籍できる期間は1年だけ、といった独自ルールをもっている会社もあります。
これも事前に伝えられているはずですが、聞いていなかったら・・派遣会社に聞いてないけど、と伝えましょう。
会社の業績が悪化。いわゆる「派遣切り」
経営不振や会社独自の理由で、経営が悪化した時、人員整理と呼ばれるものがあります。
いわゆるリストラ。
でも、社員をリストラするのは法律上大変なので、まずは派遣社員の更新を更新しない、ということがおきます。
リーマンショックのときに起きたのはこれです。
大手の派遣会社ですら社員をリストラするくらい、派遣業界に影響がありました。
評価がよくなくて終了
パフォーマンスの問題で契約更新してもらえないこともあります。
- 能力不足
- 勤怠が悪い
- 周囲とうまくやっていけない
- トラブルを起こした
何かしらの兆候があるはず
パフォーマンスで終了となる場合、いきなりサヨナラとはならないはずです。
何かしらの注意を派遣先の人や派遣会社の担当者から言われていることが多いもの。
それでも改善がみられなかったので、更新ナシという判断が下ります。
社員の配属が決定した
社員がよその部署から異動してきたり、新卒社員の研修が終わって配属先が決定した、などという理由で派遣社員の業務がなくなる場合もあります。
経営方針の変更で部門が縮小・または消滅
経営方針で商品やサービスの提供をやめる、などが決定すると関連する部署も消滅したり、縮小や合併することがあります。
または、業務をまるごとアウトソーシングするケースも。
アウトソーシングとは、業務の一部や全部を別の会社に委託する、ということ。
例えば、経理の業務は自社じゃなくて専門の企業に依頼しよう、みたいな。
そうなった場合、業務がなくなります。
アウトソーシング先の会社でスカウトされることはあるよ。
その場合は、アウトソーシング先の企業で採用されるか、派遣先がアウトソーシングに変わります。
支店や支社の統廃合も
支店や支社で働いている場合、会社の方針で近隣の支社と統合されることがあります。
在宅勤務が広がってオフィスを整理やWeb化が進んで、店舗に来るお客さんが減った、みたいな理由。
統合先に支社で勤務しないか、と打診されることもあります。
ただ、全員を連れていけないから選抜、ということも。
派遣先で3年経った
派遣社員はいつまでも同じ職場で働くことができません。
派遣法では「人で3年」というものがあり、同じ職場の同じ部署では3年までしか働けないんです。
次の契約更新で3年経ってしまう場合、更新ナシとなります。
例外もあるよ
- 派遣会社と期間の定めのない契約(無期雇用)の契約を結んでいる
- 育休、産休の人の代替として働いている
- 60歳以上
など
あと、同じ会社で別部署に異動したらリセットされるので、そこから3年になります。
派遣会社の契約が通算年5年に達しそうになった
同じ派遣会社で複数の派遣先で働いた場合、通算5年になると契約更新するかの話がでてきます。
労働契約法により、派遣会社には通算5年働いた派遣社員を期間の制限のない条件で雇用する義務が発生します。
簡単に言うと、正社員に近い雇用ということ。
雇用期間以外の条件は、今のままとほぼ変わりませんが、たとえ派遣の仕事がなくなっても派遣会社が休業手当を出します。
ただし、派遣会社側から見るとリスクがでてくるんですね。
正社員に近いわけですから、簡単に解雇とかはできないわけです。
それゆえに、無期の契約を結ぶ人材は慎重になります。
派遣会社によっては「無期雇用しない」方針の企業もあります。
これは派遣社員だけの問題じゃなくて、契約社員やパート・アルバイトでも起きるんです。
その場合は、派遣会社じゃなくて雇用主に無期で雇用する義務が発生。
ときどき問題となってニュースになったりするの。

契約更新しないときの注意点
契約更新したくない場合、円満に終わりたいですよね。
いつ、誰に伝えるか
更新しないと決意した場合、派遣会社の担当者に伝えます。(派遣先の人じゃないよ)
更新確認の面談で伝えてもいいし、もっと早く伝えてもいい。
後任探しを進めてくれて、円満退社できたりするので。
ただ、伝えることで職場にいづらくなりそうだったら、更新確認のタイミングでOK。
仮に30日前ギリギリに派遣会社の担当者から連絡があっても、それは派遣会社の怠慢。
ギリギリに確認してくんなってこと。
有給消化
有給が余っている場合、消化してしまいたいですよね。
同じ派遣会社で次の派遣先が決まっているなら、有給は持ち越せますが、そうでなければ使い切ったほうがいい。
契約更新しないと伝えるのと同時に有給消化したいと派遣会社の担当者に伝えてください。
仕事があるのでもちろん派遣先との調整も必要にはなりますが、「消化するよ」と言っておくとスムーズ。
ちなみに買取は基本していないはず。

有給は権利。
言いにくくても・・言おう!
言ったものがち
退職に伴ってお願いされること
退職が決定したら、お願いされることがでてくることも。
マニュアルや引き継ぎ書の作成
引き継ぐ人のためにマニュアルや引き継ぎ書の作成を依頼されることもあります。
作っておくと有休もとりやすかったり、代わりの人が対応してくれたりとメリットがあるので、頼まれたら作成しておきましょう。
後任へのレクチャー
後任が決定したら、引き継ぎレクチャーの依頼が入ることも。
期間は会社によりますが、1~2週間なんてこともあるので、有給消化のスケジュールを考えて調整しましょう。
更新確認は時給UPを交渉するタイミング
契約更新は、時給交渉をするいいチャンスでもあります。
時給の変更は、契約単位で行われることが多いです。契約期間中に変えるのは稀。
以下のような事項に当てはまる場合、「時給あがりませんか?」ときいていいかも。
- 今の職場で1年以上働いていて、いい評価をもらっている
- 業務内容が増えた
- 同じ業務なんだけど、責任範囲が広がったり、対応する件数が増えた
など
時給交渉するときは、数値で業務増を具体的にしたり、1年前との業務量を違いをまとめておくといいよ。

派遣の契約更新での疑問や悩み
契約更新でよくある疑問や質問についてお答えします。
いつまで回答を待たせられる?
更新を迷って、回答を保留する場合もありますよね。
これは、派遣先によって異なるので、派遣会社の担当者に「いつまでに回答すればいいですか?」と確認しましょう。
契約終了日のギリギリまで待ってもらえることは少な目。
業務を対応できる後任を探さないといけないから。
いつ更新が確定するの?
遅くても30日までには決まるはず。
これは法律で「更新をしない場合、30日前までに伝える」ことが定められています。
なので30日前までに確定することがほとんど。
ちなみに、更新する場合は30日過ぎてもOK。
30日を過ぎて「更新しません」と言われたら、休業手当について派遣会社の担当者と話しましょう。
終了が決定。有給消化できる?
有休を使うのは権利なので使えます。
ただ、仕事もあるので派遣会社の担当者に消化したい旨伝え、派遣先と調整しましょう。
場合によっては、有給消化のために少し契約延長することも打診されることも。
「年5日間は有給取得の義務」は派遣社員も適用されますし、遠慮なく担当者と相談してください。
もちろん、有給を使い切ってOK!

契約は終了。転職面接で休みたい・・
次の職探しで面接があったりしますよね。
会社都合の終了であれば、協力してくれる可能性があります。派遣会社の担当者に相談してお休みや早退で対応します。
自己都合でバツが悪いと感じたり、派遣先の協力が得られないときは、休みの申請をして対応するしかないです。
もうやめる職場ですし、次の仕事を見つける方が断然重要なので、意思を強く持っていいと思います。
やっぱり続けたい!今から変えられる?
タイミング次第かもしれません。
もう後任が決定していたら難しいですし、後任が決まっていなければ続けられるかもしれません。
ただ「この人はすぐやめる可能性がある」と派遣先も不安をもつことは覚悟かな。
とりあえず、派遣会社の担当者に相談しましょ。
次の仕事が決まるまで、という契約は結べないの?
なかなか難しいですね。
「決まったから今週で退職します」と言われてしまうと、周りの人にさまざまな影響が及びます。
なので、長期的にいてくれる人を派遣先は求めるはず。
「その条件でもいいよ」より「その条件だと更新できない」と言われることの方が多いと思います。
3年満期だけど続けたい!どうしたらいい?
続ける場合、選択肢があるとしたら以下のとおり。
- 派遣先で直接雇ってもらう
- 派遣会社と無期の雇用を結ぶ(無期雇用派遣)
- 別部署に異動する
①は派遣先次第になります。
これは派遣社員からの要望してもなかなか難しい・・
派遣先から続けてほしいから雇用する、という話ならあります。(多くはないです)

②は、派遣会社の方針によります。
派遣会社の担当者に無期雇用派遣になれる可能性はあるのか聞いてみましょう。

③は、別部署に異動したら3年がリセットされます。
ただ別部署で仕事があるのか、派遣会社がOKするか、という問題もあるので、これも派遣会社の担当者に聞いてみましょう。
初回の契約で終わりたい。更新したくない
「契約更新するしない」は、派遣社員の意思ですので更新はしなくても大丈夫。
実際働いてみて、全然違う!ということだってある。
派遣会社と派遣先からすれば、「もうやめるの!?」となります。
でも、スーはそれは派遣会社と派遣先の都合良すぎない?と思います。
長く働いてほしければ1年契約でもいいのに、実際には1~3ヶ月なわけです。
理由は、「何かあれば契約を更新しなければいいから」です。
であれば、「派遣社員から更新しない」というリスクを当たり前のようにもっていてもらいたい。
とはいえ、初回で辞めてしまうとその派遣会社からの仕事紹介は期待できません。
「次も辞めちゃうのでは?」ってなるから・・
なので、さっさと別の会社に登録しましょう!

まとめ
- 長期のお仕事と聞いていても、契約終了はありえる
- 理由はさまざまで、こちらに非がなくても
- 30日前までには更新の有無はわかる。それを過ぎたら休業手当をもらおう
- 有休消化は計画的に。でももらう権利はあるので、取得しましょ