長く働くと時給あがらないかな?って思いますよね。
派遣社員でも時給が上がることはあります。
- どのくらい上がるもの?
- どうやって交渉するの?
- 時給UPを頼んでも上がらないことある?
この記事では、時給UPのあれこれを解説します。
派遣の時給は上がることもある
「派遣の時給は絶対上がらない」というのはありません。
でも絶対上がるとも言い切れないのです。
時給が上がるときの背景は主に2つ。
派遣会社との交渉であがる
派遣社員の雇用主は、派遣会社です。
なので、時給UPの交渉は派遣会社と行います。

派遣会社は、時給を上げるだけの理由があるかを確認し、派遣先の会社と派遣料金の交渉を行います。
派遣先の会社が承諾したら、時給が上がるという仕組み。
実は、派遣会社って薄利多売。
よく派遣会社のピンハネとニュースで聞くけど、派遣社員の給与って飲食店で考えると材料費的な感じ。(例えが悪くてごめんなさい…)
それ以外に以下のような経費がかかってます。
- 派遣社員の社会保険料(労使折半)
- 派遣社員の有給
- 派遣社員を集める広告費
- 派遣会社の運営費
- 教育費
などなど
なので、派遣会社もちだけで時給を上げると赤字になることがあります。
だから、派遣先との交渉次第となるわけです。
料金表にしたがって上がる
派遣先の会社によっては、料金表みたいなものがあって、スキルや経験、責任範囲、年数に応じてあがるところも。
ただ、中小企業はあまりないと思います。
派遣社員が数百人以上いる企業が料金表をもっていることがあります。多くないけどね。
時給が上がる要因になるもの
時給があがった人のよくある要因は5つ。
周囲の評価がいい
業務に対する評価が良いと、派遣先も『この人にいてもらいたい』と思うので検討してくれます。
評価というのは、業務のクオリティもあるし、周囲との良好なコミュニケーションもあります。
業務の評価が良くても、人間関係でトラブルをよく起こしたり、勤怠が悪いと総合評価にケチがつくことも。
業務内容が大きく変更した
派遣は、雇用契約に記載された業務内容以外の仕事は原則させてはいけません。
正社員の場合は、雇用契約に業務内容は書くんだけど、異動や職務の追加も全然ある。
派遣社員→業務内容で契約
正社員→会社のメンバーになる契約
なので、業務内容が追加されたり変更する場合は、契約の見直しを派遣会社の担当者に確認しましょう。
業務内容の変更例
- 受発注処理だと聞いていたのに、営業サポートもあった
- 情報システム部のヘルプデスクだったけど、部内のレポートや事務処理サポートも頼まれた
- 部長専属秘書と契約書にあるけど、メンバーサポートも多い
割合も大事で「たまたま」や「週に数回短時間」だとダメかもです。
1年経過した
正社員の評価も1年に1回の会社が多いです。
なので1年経過したら必ず交渉してみましょう!
ダメかもな?と思ってもやっておくといいです。上がらなくても、今後の参考になる情報が手に入ります。
こなせる業務量が増えた
業務量が増えた場合、仕事を十分に習得していて、貢献できていると判断してくれる可能性が。
ちなみに比べるのは、働いて3か月目の仕事ぐらいの仕事量を目安にしてください。
最初のうちは慣れないことも想定して、業務量を減らして依頼することも多く、あまり参考にならないの。(期待しているより少ない業務量で慣れてもらう目的)
契約の時より、だいぶ多い量の業務をしているぞ!という場合は、1年待たずして聞いてみてもいいです。
きっとあなたの能力が高くて、派遣先が任せてくる量が増えたのだと思います。
例えば、営業事務で10社の担当ときいていたのに、20社だったとか。
20名の部署のサポート業務だったのに、隣の部門まで見ることになったとか。
責任の範囲が広がった
最初は社員と一緒に対応していたけど、業務の習得とスピードがあがり、一人で担当するようになった場合は絶対交渉しましょう!
ただし、入社間もない時は、レクチャーや引継ぎのために一緒にやっている場合があります。
あくまでも、複数人で対応していた業務を一人で(または人数大幅減で)対応するようになった、とかです。
あとは、リーダーになったときもぜひ交渉を!
資格を取得した ※条件あり
資格取得も時給交渉のチャンス!
ただし、業務にいかせる資格でないと意味はありません。
例えば、英語を使わないのにTOEIC700をとりました!だと「だから何?」となっちゃいます。
ただし、英語力があがったことで「英語を使う仕事もお願いできる?」となった場合、時給交渉のチャンスです。
すぐに上げてくれないかもしれないけど、ゆくゆくはUPしてくれるかも含めて確認しておきましょう。
証券会社などは、何級の証券外務員資格を持っているかによって、対応できる業務が変わってきます。(法律で定められている)
資格がないとできない仕事ってやつです。
その場合は、もちろん時給交渉です!

他の派遣社員と差があったとわかったとき ※条件あり
これはよくある条件に入れましたけど、イレギュラーと思ってください。
他社の派遣会社の派遣社員と差がある場合
まず他社の派遣社員と時給が違う場合、同じにするのは難しいかもしれません。
雇用主が違うからです。
よく同一労働同一賃金ってありますが、派遣の場合は2種類の考え方が存在します。
- 派遣先の社員と均等・均衡にする
- 派遣会社の定めた要件に沿って労使協定が締結されている
小難しいですが、多くの派遣会社は②を選択しています。
派遣先と合わせるのは障壁が多いので・・
②の場合、各派遣会社が要件を定めているので、違う派遣会社と合わせる理由もないし、難しかったり・・
ただ、あまりに差がある場合、トライしてみましょう!
納得いかないしね。
同じ派遣会社の派遣社員と差がある
この場合は、聞いてみてもいい。
ただ、相手が長く働いていて業務に精通していたり、自分はやっていない仕事を実は担当していたりするので、その場合は上がらないかもしれません。
ただ、モヤモヤする場合は、聞いてみていいと思います。
そこを超えていくので、あまりいい顔されない時給交渉になります。
ただね、同じ仕事しているのになんで給与が100円も違うの!?ってなるじゃないですか。
なので、言い方はあるけどトライしてみてもいいと思う。
モチベーションも下がるしね。
言わないでイライラするより、冷静に派遣会社の担当者と相談した方がいいです。
なかなか解決しないイライラって時間と感情のムダだもん。
時給UPの交渉の仕方とポイント
ノープランで交渉するより、計画的に交渉するほうが成功率は高まります。
下手すると印象が悪くなるので、ポイントを押さえておきましょう。
誰と交渉するの?
派遣会社の担当者と交渉します。
派遣先とは原則交渉しないでくださいね。
派遣先は雇用主ではないので、あなたの時給を知らないことがほとんどです。
雇用しているのは派遣会社なので、派遣会社と相談します。
タイミング
時給UPの理由により、タイミングが変わります。
更新確認で担当者と話すとき
1年経過して「2年目はUPしてほしい」場合の時給交渉は、更新確認のタイミングで聞いてみましょう。
業務内容が拡大・変更した場合
派遣先や派遣会社を通して、業務内容の増加や変更、追加をお願いされたら、そのタイミングで聞いてみましょう。
聞く相手は、いつでも派遣会社の担当者であることをお忘れなく!
どのくらい上がるもの?
時給の場合、数十円~100円ぐらいの幅で上がることがほとんどです。
少額だからと侮るなかれ。
月額や年額にしたら結構なUPになります。
時給1500円でのシュミレーション
1日8時間で月20日間働いた場合のシュミレーションはこちら。
昇給額 | 月換算 | 年換算 |
---|---|---|
10円 | 1,600円 | 19,200円 |
30円 | 4,800円 | 57,600円 |
50円 | 8,000円 | 96,000円 |
100円 | 16,000円 | 192,000円 |
ちなみに正社員の2022年昇給率は、大手企業で平均2.27%ほど。
参照:経団連 2022年春季労使交渉・大手企業業種別回答(PDF)
交渉のポイント
「時給あげてほしいです」と派遣会社の担当者に伝えるだけでもいいのですが、対策があるともっといいです。
時給UPの理由を用意
前の章で説明したような時給が上げる根拠となるものを用意しておきます。
できれば、時間や対応件数、売上高などを数値化して資料にしておくといいです。
- 業務量が増えた
- 業務が追加された
- 業務が変更になり、より専門性を求められた
- 業務を効率化して、残業を減らした
派遣会社の担当者が派遣先の会社と交渉しやすい理由を用意するイメージです。
派遣会社の担当者といい関係をつくっておく
派遣会社の担当者といい関係を築いていれば、コミュニケーションも取れているので、十分な情報が伝わります。
派遣会社の担当者も人間なので、「この人のために頑張りたい!」と思うこともある。
ただ、派遣会社の担当者がどーしようもないケースもありますよね。
そんな場合は、冷静に資料を渡して「時給あげてください」と伝えましょう。
ただ、見分けられないかもしれないから、何も言われていなければ自分から動きましょ。
覚悟があるなら「辞めます」を伝える
時給上がらないなら辞めてもいいと思う人は、「時給が上がらないようなら、契約更新はしないつもりです」と強気で攻めるのもあり。
「この人にいて欲しい!」って思う場合は、派遣先も真剣に検討するはず。
ただ、「では更新はなしで、別の人を派遣してください」となる場合もあるので、仕事を失うリスクを覚悟が必要。

時給が上がらない原因と対策
時給交渉してみて、ごめんなさいってなることも当然ながらあります。
時給UPしない理由
アップしない理由は、主にこちら。
評価がよくない
業務や勤務態度に対する派遣先の評価がよくない場合、時給交渉が失敗になることはあります。
派遣先の期待値に達していないからですね。
正社員でもマイナス評価を設けているところはあって、その場合は給与が下がります。
業務量や質に変化がない
始めた当初(引継ぎや研修期間を除く)と業務量が変わっていない、パフォーマンスも同じ場合も、昇給する理由がないので見送られることも。
ここが派遣社員の辛いところでもあります。
正社員なら、変化なくてもちょっと上がったりしますからね。
他の派遣社員との兼ね合い
業務が同じで、勤務期間が同じ派遣社員がたくさんいる場合、ひとりだけ上げることが難しいと判断される場合があります。
働きだして1年経っていない
1年未満で特に業務の追加などない場合は、まだ早いと判断されることがあります。
正社員も昇給は1年に1回であることがほとんどです。
それと比較されて「まだよー」となることもあります。
派遣先の経営がよくない
派遣先の経営状況が悪いと、時給交渉に応じてくれる可能性が低くなります。
人件費はどの企業でも大きな割合を占めるので、正社員なども含めて残業を減らす、ボーナスカットなど行われる。
もちろん派遣社員にも影響がでて、時給交渉に応じられない、となります。
派遣会社の担当者がいまいち!
派遣会社の担当者に交渉力がない。
もしくは、企業に対して対等に交渉できない派遣会社である場合、交渉で負けてしまっていることも。
ただ、これを見極めるのが難しい・・
周りの同僚で上げてもらったよ!って声があるなら、担当者に問題はないかもしれませんが。。
派遣先が人件費にシビア
特に経営状況に問題がなくても人件費にシビアな会社はあります。
派遣料金の交渉には応じない、それであれば辞めてもらって結構です、といった感じ。
感覚値ですが、そんな会社は多くはないはず。
今は、派遣社員も含めて絶賛人手不足中。
優秀な人にはいてほしい、と現場からの声が人事に届くことも。
時給が上がらないときの対策
時給が上がらなかった場合は、次の契約で上がるように対策しましょう。
派遣会社の担当者に質問する
時給が上がらなかったときは、派遣会社の担当者に理由を確認しましょう。
派遣先の派遣料金UPの仕組みを理解するのは重要。
パフォーマンス次第なら仕事を頑張る
パフォーマンスが足りない、または可もなく不可もなく、であれば仕事を頑張るしかありません。
その際は、派遣先が「どんなことを評価するか」を探ってみるといいです。
仕事の成績かもしれないし、周囲との良好な関係かもしれない。
やみくもに頑張ると疲れるので、俯瞰して考えてみてもいいかも。
辞めて高い時給の仕事を探す
経営状況が理由であったり、会社の方針で派遣料金の変更には応じない、という会社は続けても望み薄。
理由次第では、次の仕事を探す方が早いです。
その場合、今の派遣会社から仕事を探してもらうのが難しいと思うので、別の派遣会社にこっそり登録、または正社員へ転職活動です。

時給が上がった場合の注意点
時給が上がることはうれしいですが、上がった分=手取りの増額ではないので、気を付けましょう。
税金・保険料があがることも
税金や保険料は、収入額で決定しますよね。
時給UPにより、税金や保険料の比率が上がることもあるので給与明細は要チェックです。
- 所得税
- 住民税
- 雇用保険料
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
扶養内の人は扶養を外れる可能性をチェック
扶養内の人は、扶養を外れないかも計算しておきましょう。
残業がちょいちょい発生する人は、余裕をもって計算します。
オーバーしそうという理由で、年末にかけて勤務時間を調整してくれる場合もありますが、今の派遣先がOKするかわかりません。
そうならないように確認しましょう。
同僚には言わないほうが賢明
派遣社員の同僚には、時給UPを伝えないほうがいいと思います。
派遣会社が違うと、上がらないこともあるし、業務内容や評価があなたと異なることもある。
相手もうまくUPすればいいのですが、そうならなかった場合、揉めてしまうことも。
余計な悩みを抱えないためにも心の中に納めておくことをオススメします。
スーがいた職場は、派遣社員ばっかりで1チーム20名近く。
あるとき、部門長と親しい派遣社員の同僚が「部門長に頼んで時給上げてもらった」といって、金額まで教えてくれました。
スーは、次のタイミングで辞めるつもりだったので、「へー」って思った程度。
けど、彼女より仕事を任されている派遣社員の人と同じ給与になったのはびっくり。
派遣社員が多かったゆえに、あちこちで噂話が・・
お金のことって怪しい雲行きをすぐ作ってしまうと感じた経験でした。
時給交渉に関するFAQ
時給交渉に関するよくある質問にお答えします。
そもそも他の派遣社員と時給は同じなの?
同じである場合もあるし、違うこともあります。
派遣会社が違うと、給与が違うことはまぁある。
同じ派遣会社でも、途中から派遣料金表ができた、などの理由で異なることも。
派遣先によっては、派遣社員の給与を指定しているところもあるみたいです。
あまり多くはないと思います。
時給交渉が成功!いつから変わるの?
次の契約からUPするケースが多いです。
今の契約を結びなおしてまで変更する場合は、業務内容の大幅な変更や追加があった場合などでしょう。
上がった分、全額が時給に反映される?
基本的には、派遣会社と分け合います。
どう分けるかは、個人単位で変わります。
「全額反映されないなんておかしい!」と感じるかもしれませんが、派遣社員の給与があがると、派遣会社の経費もあがるのです。
一例
- 有給
- 社会保険料(労使折半なので)
- 派遣会社が国や自治体に支払う税金
なので、100%時給に反映というケースは少ないはず。
時給が上がりやすい職種ってある?
人気職種の場合、時給が上がりやすいと思います。
次の人を見つけにくいので、派遣先も応じる可能性が高い。
もちろん、期待を下回るパフォーマンスだったら厳しいかもです。
- IT系」
- 経験豊富な経理
- 英文経理
- 経験や資格が必要な人事系業務
- 金融系の専門業務
など
介護もよく募集がかかる人気職種なのですが、「福祉」なので経営している企業もお金がギリギリであることが多いです。なので、時給は上がりやすいとは言えないです。
販売職も人手が足りない職種ですが、「未経験OK!」なところもあってか、時給が上がりやすいとは言えず。
そこで働くアルバイトとの兼ね合いもでてきます。
ほかの派遣社員に時給を聞いていいもの?
給与の話は原則ご法度、というのがこの業界。
ただね、聞いてしまうこともあるんですよ。
「〇〇さんは、いくらでした!上げてください!」
って言いたいけど、あまりよい印象を持たれないので、言い方に注意して聞いてみるといいと思います。
まとめ
- 時給交渉はしておこう!しないと上がらないことが多い
- 必ず上がるとは言えない。理由はさまざま(上がらないともいえない)
- 派遣会社の営業に交渉のための資料を渡そう
- 業務の追加や変更など、上がる可能性が高いことが起きたら、すぐに交渉を